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繊細な心の揺れ動きーーシューマンの歌曲

鶴見オクトーバーコンサートの解説を務める大村です。コンサートまで1週間を切りまして、他の出演者の方々と同様、緊張が高まると同時に、本番が待ち遠しい気持ちです。  オペラ・声明・尺八のコラボレーションという前代未聞(?)の演奏会の司会というお仕事をいただいた時は「果たして私にまとめる事ができるのだろうか…」という不安がありました。  しかし何度か行われたリハーサルに参加して、今回のコンサートの成功を確信しました。きっと皆様が今までに聴いたことも、観た事もないような音楽会になることをお約束いたします。

 さて、今回のプログラムでは一曲だけドイツの作曲家、ロベルト・シューマンの歌曲が演奏されます。シューマンは1810年生まれ、ピアノの詩人ショパンと同じ年に生まれました。  ショパンがほとんどピアノ作品しか残さなかったことと対照的に、シューマンは交響曲、室内楽、歌曲の分野に傑作を残しています。  またシューマンは音楽だけではなく、文学にも造詣が深く、歌詞のないピアノ曲ですら、文学作品からのインスピレーションによって作曲しています。同じドイツの先輩作曲家、シューベルトの歌曲に習い、文学と音楽のコラボレーションを深めた重要な作曲家と言えるでしょう。《詩人の恋》や《女の愛と生涯》といった歌曲集では小さな歌曲が互いに照応することで、一つの大きな世界を描いています。  そんなシューマンの歌曲の特徴の一つは、テンポの揺れ動きです。これはシューベルトの歌曲よりも頻繁に用いられます。今回お聴きいただく歌曲にも繊細な揺れ動きがあり、歌詞の内容を反映した心の揺れ動きが、音楽に現れています。

(著者近影:大本山総持寺にて)

 シューマンの歌曲を歌うのは前川さんですが、彼はささやくような細やかな表現も得意なテノールです。  精緻な声のコントロールから生み出される心理表現を、ぜひ響きの美しいサルビアホールでお楽しみください。

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